私たちは、Vitamin K2(VK2)が様々な白血病細胞にin vitroにおいてapoptosisを誘導することを報告してきた。 今回、白血病と骨髄異形成症候群(MDS)を対象とし、臨床検体および細胞株を用いVK2の白血病細胞に対するapoptosis誘導効果および機序の検討を行った。その結果以下の知見を得た。 (1)VK2はMDS芽球を含む白血病細胞に対してapoptosisを選択的に誘導した。 (2)白血病細胞株の細胞周期解析では、VK2によりG1arrestが誘導され、mitosisを阻害するVP16との併用によりapoptosisは増強した。 (3)VK2処理によりp27^<KIPI>は増強しており、そのためG1arrestが誘導されると考えられる。また、G1arrestが誘導された細胞の分化抗原が増強し、VK2にはapoptosis以外に分化誘導効果があることが確認された。 (4)Apoptosisの機序として、VK2処理によりミトコンドリアの膜電位は、経時的に低下しBcl-2の発現低下、Baxの発現増強が認められる。これらよりVK2はミトコンドリアに作用することが示唆された。 (5)G-CSF等の細胞増殖因子によりVK2のapoptosis誘導活性は一部抑制されることより、両者のシグナルのcross talkが想定される。 (6)臨床的には、骨髄線維症を伴なったMDS患者に対し、本人の同意後VK2を経口投与したところ、芽球の減少および血小板減少の改善を認めた。 (7)MDS患者に対するVK2療法について全国にアンケート調査を行い、30%以上の有効率を得ている。この結果を踏まえ、今後は多施設治験を予定している。
|