研究概要 |
[目的] 多能性造血幹細胞(P-HSCs)の分化にはストローマ細胞との相互作用が必須であるが、この相互作用るMHC拘束性を細胞及び分子生物学的に検討した。[結果] In vitroで培養したストローマ細胞あるいはストローマ細胞株のmonolayerの上にP-HSCsを加えるとmono1ayerの下にもぐりこみ、そこで自己複製増殖をしてcobblestone colonyを形成する。 5FU処理4日後のマウスから分離した造血前駆細胞(Sca-1^+,Lin^-)をMHC-compatibleあるいは、MHC-incompatible胎児骨由来ストローマ細胞と共培養し、cobblestone colonyの形成を観察した結果、MHC-incompatibleのストローマ細胞培養中ではMHC-compatibleの細胞培養中の30〜50%(平均38%)であった。MHC cIass lノックアウトマウスから分離した造血前駆細胞と正常マウス胎児骨由来ストローマ細胞の共培養では、MHC-incompatibleな組み合わせとMHC-compatibleな組み合わせとの間ではcobblestone colonyの数に違いが無がったが、正常マウスから分離した造血前駆細胞とMHC class lノックアウトマウス胎児骨由来ストローマ細胞の共培養では、MHC-incompatibleのストローマ細胞培養中ではMHC-compatibleの細胞培養中の36%であった。これらの結果により、in vitroでのP-HSCsとストローマ細胞interactionにおいてもMHC拘束性が認められ、それは、P-HSCsの発現するMHCに拘束されることが判明した。さらにB10コンジェニックマウスを用いて実験を行った結果、CFU-Sが形成と同様にP-HSCsとストローマ細胞間にH-2SとH-2Dがcompatibleである場合にSyngenicな場合と同様のCobblestoneが形成された。
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