研究課題/領域番号 |
10670976
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
血液内科学
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
塚田 順一 産業医科大学, 医学部, 助教授 (20227367)
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研究分担者 |
江藤 澄哉 産業医科大学, 医学部, 教授 (90010347)
三砂 將裕 産業医科大学, 産業保健学部, 助教授 (30157474)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2000
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キーワード | 成人T細胞白血病 / インターロイキン1 / 遺伝子転写 / サイトカイン / STAT / レセプター / 白血病 / シグナル伝達 |
研究概要 |
「目的」サイトカインのレセプターへの結合は細胞質内のJakキナーゼを活性化し、STAT蛋白をチロシンリン酸化する。リン酸化STATは2量体となり核内移行しGASシークエンスに結合し遺伝子を転写する。このようにサイトカインはJak/STATを活性化する事によりシグナルを標的遺伝子へ直接的に伝達してぃる。一方、正常細胞と異なり白血病細胞はJak/STATを恒常的に活性化しており、この恒常的活性化は白血病細胞に見られる種々の遺伝子の異常発現に寄与している。特に成人T細胞白血病(ATL)細胞はIL-1βを恒常的に産生し、IL-1βはATL細胞の活性化因子として働くことが知られている。申請者は、IL-1刺激がSTAT様因子(STAT/IL-1因子)をチロシンリン酸化することを見出した。この因子はヒトIL-1β遺伝子発現を誘導する転写因子であり、IL-1β遺伝子のGAS類似シークエンス(GAS/IL-1)に特異的に結合する。申請者はSTAT/IL-1因子に注目し、ATL細胞のIL-1β産生におけるSTAT/IL-1因子の役割を明らかにしたい。 「方法」申請者は、ゲルシフトアッセイを用いATL細胞におけるSTAT/IL-1の存在や活性化について検討した。プローブはIL-1β遺伝子GAS/IL-1シークエンスを用いた。ATL細胞の細胞核抽出液を作成し、放射線ラベルGAS/IL-1DNAプローブとインキュベートし、GAS/IL-1プローブに結合するSTAT/IL-1蛋白を解析した。また、ヒトIL-1β遺云子GAS/IL-1シークエンスを組み込んだCATベクターを作成し、ATL細胞に遺伝子導入しSTAT/IL-1因子のIL-1β遺伝子に及ぼす転写活性を測定した。 「結果」ATL細胞はSTAT/IL-1因子を有し、IL-1にて刺激しなくともSTAT/IL-1因子のGAS/IL-1シークエンスへの結合が観察され、ATL細胞ではSTAT/IL-1因子が恒常的に活性化されており、特に急性型に強い活性化が認められた。一方、正常リンパ球もSTAT/IL-1因子を有するが、未刺激の正常リンパ球のSTAT/IL-1因子は非活性型であり、IL-1刺激にて初めて活性化された。さらに、ATL細胞にGAS/IL-1シークエンスを有するCATベクターを導入した結果、GAS/IL-1シークエンスは恒常的に転写誘導され、ATL細胞は強いヒトIL-1β遺伝子の転写活性を有している事が明らかとなった。
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