研究課題/領域番号 |
10670977
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研究機関 | (財)佐々木研究所 |
研究代表者 |
山田 俊幸 財団法人 佐々木研究所, 細胞遺伝部, 主任研究員 (20183981)
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研究分担者 |
米山 ひとみ 財団法人 佐々木研究所, 細胞遺伝部, 研究員 (30290977)
根岸 文子 財団法人 佐々木研究所, 細胞遺伝部, 研究員 (40177902)
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キーワード | PU.1 / 赤白血病 / 細胞分化 / アポトーシス / Defferential Display法 |
研究概要 |
昨年度に引き続き、PU.1の適剰発現によりMEL細胞に誘導される分化抑制およびアポトーシスの過程で発現の変化する遺伝子の同定をDifferential Display法により行い、これを完了した。全251遺伝子のうち、発現の上昇したものは138であり、そのうち37は既知の遺伝子であった。発現の低下したものは113であり、そのうち63は既知の遺伝子であった。現在、既知の遺伝子、未知の遺伝子のそれぞれについて以下に述べる解析を行っている。 既知の遺伝子の中には、PU.1が本来発現している骨髄単球系細胞の分化に関わるosteopontin、B144、eosiniphil cationic protein等の遺伝子が含まれており、これら遺伝子の発現は上昇していた。そこでPU.1を過剰発現したMEL細胞での骨髄単球系細胞特異的遺伝子の発現誘導に注目してRT-PCRを行い、C/EBPα、C/EBPε、GM-CSF受容体、G-CSF受容体、M-CSF受容体、myeloperoxidase、CD18等の遺伝子発現が上昇することを明らかにした。これらの細胞のnitro blue tetrazolium還元能は著しく上昇しており、またラテックスビーズに対する貧食能も認められた。さらにこれらの細胞にGM-CSFを投与すると付着性の細胞が多数出現し、部分的にではあるがアポトーシスが回避された。これらのことから、PU.1はMEL細胞において単に分化を阻害するだけでなく、細胞分化の方向を骨髄単球系細胞へとシフトさせうることが示された。 またPU.1の過剰発現により発現が誘導される未知の遺伝子の中に、筋肉細胞や神経細胞の分化や生存、マクロファージの活性化等に関わる転写因子MEF2Cに一部相同性を持つものが存在した。現在この遺伝子のクローニングを進めており、MEL細胞の分化抑制およびアポトーシスヘの関わりを追求していく予定である。
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