1. 新規水チャネルであるAQP9をクローニングした。AQP9mRNAの発現は白血球にもっとも多く認められた。アミノ酸の相同性からAQP9はAQP3、AQP7とともに1つのグループを形成すると考えられたが、AQP3、AQP7が尿素とグリセロールの透過性をも有するのに対して、AQP9は尿素の透過性のみ認め、特異的な機能を有することが判明した。 2. 腎性尿崩症患者の遺伝子解析を行い、バゾプレシン感受性水チャネルであるAQP2の遺伝子異常を同定した。患者は父親由来のT125M、母親由来のG175Rという2つのアミノ酸変異を有する複合へテロ接合体であった。これらAQP2変異体の機能解析では、細胞内トランスロケーションの異常は認められず、蛋白自体の機能低下が腎性尿崩症の発症原因と考えられた。 3. ロバスタチンのメサンジウム細胞増殖抑制の機序を検討した。ロバスタチンは網膜芽腫蛋白のリン酸化を阻害し、cyclin-dependent-kinase(CDK)2-およびCDK3-結合性p27Kipl蛋白を増加させたが、網膜芽腫蛋白のmRNAレベルには影響を与えなかった。また、ロバスタチンが細胞周期を抑制したことから、p27Kipl蛋白の転写調節を刺激または異化を抑制することが示唆された。 4. ヒトAQP8をクローニングするとともに染色体遺伝子を解析した。AQP8は水特異チャネルであるにもかかわらず、その遺伝子は5個のイントロンを有し、系統発生学上の由来が異なることが示唆された。 6. 線虫C.elegansのMIP蛋白を、アフリカツメガエル卵を用いた発現系にて機能解析を行い、水チャネルであることを同定した。このチャネルAQP-CE1は水な他に尿素透過性を有していたが、グリセロール透過性は認められなかった。 7. 腎ライブラリーの作製し核内受容体DNAの単離を試みているが、現在のところ断片しか得られていない。今後、新たに腎ライブラリーを作製する予定である。
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