RT-PCRでクローニングして得たヒトβ_2-ミクログロブリンcDNAをcDNA発現ベクターであるCAGプロモーターに接続して構築した導入遺伝子を用いて、トランスジェニックマウスの作出に成功した(5系統のF0を作出した)。各系統のF0をワイルドのマウスと交配して得られたF1の脳、肺、心、肝、脾、腎、骨格筋でヒトβ_2-ミクログロブリンのmRNAの発現をRT-PCR、ノーザンブロットで、血液と尿におけるヒトβ_2-ミクログロブリンの発現をウエスタンブロットでそれそれ確認した。ヒトβ_2-ミクログロブリンの血漿濃度、尿中濃度を測定し、5系統でのヒトβ_2-ミクログロブリンの発現の強さの違いを確認した。各系統毎にホモを確立する目的で、それぞれの系統内でF1同士を交配してF2を得た。F2をPCRで解析し、トランスジェニックマウスと確認したマウスをワイルドのマウスと交配し、生まれたマウスをPCRで解析した。ヒトβ_2-ミクログロブリンの発現が高い系統において、すべてトランスジェニックマウスと判定されたF2(ホモ)が得られた。これまでの解析結果では、血漿ヒトβ_2-ミクログロブリン濃度は、透析患者のレベル(20〜30mg/l)に達しているが、アミロイドの沈着は認められていない。透析アミロイドーシスは腎不全患者にのみ認められることから、腎機能が正常ではアミロイドの発症は起きないものと考えられる。そこで、アミロイドの沈着を図る目的で5/6腎摘をして腎不全の要因を組み込んで20ケ月以上経過したマウスについて解析を行っているところである。
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