NDCK細胞を用い、高浸透圧、アミノ酸欠乏、インスリン投与によるSystem Aの誘導のtime course、浸透圧ならびにインスリン投与量の依存性を明らかにした。MeAIBの細胞内取り込みで評価すると高浸透圧ではsystem Aの誘導は4時間後の最も早期に認められ、インスリンは8時間後、アミノ酸欠乏では24時間後にsystem Aの活性増加が認められ、誘導のtime courseの相違が明らかとなった。インスリン投与24時間後に高浸透圧負荷を加えるとSystem Aの誘導は相加的に認められ、インスリン投与と高浸透圧ストレスによるSystem A誘導機構が異なることが示された。 MDCK細胞の細胞傷害をMTTassay、培養メディウム中へのLDHrelease、apoptosisの有無をDNAの電気泳動によるラダーの検出とTUNEL法によるDNA断片化により評価した。500mOsm48h負荷群ではメディウム中のLDH活性が増加し、MTTassay値はコントロール(300mOsm)の23±4%と高浸透圧による細胞傷害を認めた。1mMのベタイン、タウリン、プロリン、トレオニンの添加によりMTTassay値はそれぞれコントロールの87±2、46±2、44±4、41±2%と回復し、オスモライト添加による細胞傷害の有意な抑制を認めた。600、700mOsm24時間負荷によりDNAのラダーおよびTUNEL法陽性細胞が認められ、apoptosisが高浸透圧による細胞障害に関与していることが明らかとなった。TUNEL法陽性の細胞数は1mMベタイン添加により抑制され、オスモライト蓄積が障害の軽減に有用であることが示唆された。
|