腎細胞、腹膜細胞を用い、浸透圧ストレス応答について研究を行った。1)腹膜透析では腹膜細胞の傷害による腹膜機能の低下、硬化性腹膜炎が問題となっており、透析液の高浸透圧がその要因の一つと考えられている。本研究では高浸透圧負荷によるsystemAの誘導を明らかにし、新たな浸透圧制御の知見を得た。培養腹膜細胞では中性アミノ酸輸送系であるSystemAの輸送活性は高浸透圧負荷4時間後には36倍に増加し、細胞内アミノ酸含量は高浸透圧により12時間後には306より757nmol/mg proteinと2倍以上に増加した。増加したアミノ酸の81%は中性アミノ酸であった。SystemAの輸送カイネティクスの解析ではKmは0.16mM/lであり高浸透圧によりVmaxの増加を認めた。これより中性アミノ酸とSystemA輸送系が高浸透圧制御に重要な役割を持つことが明らかとなった。2)腎由来培養細胞(MDCK)を用いて高浸透圧による細胞傷害にアポトーシスが関与すること、オスモライト添加が細胞保護効果を持つことを示した。高浸透圧(700mOsm)負荷24時間後にはcaspase-3活性は20倍以上に増加し、caspase-8、caspase-9活性化も認められ、caspase依存性のアポトーシスが誘導されることを示した。またベタイン、中性アミノ酸などSystemAの基質であるオスモライトを細胞外に添加することにより、高浸透圧による細胞傷害が抑制されることを示し、特にベタイン添加は、高浸透圧依存性アポトーシスを抑制することを明らかにした。
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