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1998 年度 実績報告書

腎障害進展機構におけるアンジオテンシン受容体拮抗薬と変換酵素阻害薬の優劣の検討

研究課題

研究課題/領域番号 10671004
研究機関慶応義塾大学

研究代表者

林 晃一  慶應義塾大学, 医学部, 講師 (80164937)

研究分担者 徳山 博文  慶應義塾大学, 医学部, 助手 (50276250)
本多 正典  慶應義塾大学, 医学部, 助手 (20270514)
久保田 英司  慶應義塾大学, 医学部, 助手 (40255451)
松田 洋人  慶應義塾大学, 医学部, 助手 (80245498)
キーワードアンジオテンシン変換酵素阻害薬 / アンジオテンシン受容体拮抗薬 / 腎臓 / 輸入細動脈 / 輸出細動脈 / 腎血行動態
研究概要

腎障害の進行は、アンジオテンシン変換酵素阻害薬(以下、ACE-I)を用いてアンジオテンシンII(以下、AII)の生成を抑制することにより、その進行速度を遅延しうることが報告されている。さらに、近年アンジオテンシン受容体拮抗薬(以下、AIIA)が開発され、降圧薬としての有用性のみならず心不全ではACE-I以上に有用であることが報告された(ELITE Study)。しかしながら、腎疾患におけるAIIAの有用性、ならびにACE-Iと比較して腎障害の進展抑制にどちらがより有効であるかについては明らかでない。本研究ではAIIAとACE-Iとの腎作用の比較において、(1)ACE-Iによるキニン・NO産生亢進が賢保護作用に関与するか、(2)AT2刺激は腎血行動態ならびに腎保護作用を示すか、(3)AT2が関与するのであればどのような機序が関与するかの点に焦点を絞り、腎保護作用の比較を病理学的ならびに腎血行動態・微小血行動態を含む生理学的観点から検討した。さらにその機序の詳細な検討のため、腎内オートクリン・パラクリンの動態を検討した。
イヌの腎臓ではAII産生経路としてACE経路と、キマーゼを含む非ACE経路が存在する。それらのAII産主に関わるin vitroでの相対的比率は、腎組織の生化学的検索により8:2(=ACE:非ACE)であった(c.f.,左心室では4:6、大動脈では7:3)。さらに、生理的にAII生成における相対的役割の検討目的で、ACEで変換されずキマーゼで変換を受けるアンジオテンシンIアナログ([Pro^<11>,D-Ala^<12>]-アンジオテンシンI)を静脈内に注入し、アンジオテンシンIと比較したところ、アンジオテンシンIの30-50倍で腎血流の変化が認められ、100倍で血圧上昇が観察された。したがって健常イヌの腎臓ではAII生成に関して、非ACE活性の関与は少ないと考えられた。
次に、ACE-I(シラザプリル)を急性投与し、腎組織内のキニン、NOの増加を観察した。さらに腎微小循環上、腎皮質表層の糸球体において輸出細動脈優位の拡張を観察し、この反応はキニン受容体拮抗薬でNO産生上昇の消失と血管拡張反応の減弱を見出した。一方、AIIA(E-4177)の投与では腎間質内のキニンならびにNO生成亢進は観察されなかった。この両薬剤の急性投与による反応では、正常腎においてはACE-Iの方がAIIAよりも糸球体内圧低下作用が強いのではないかと考えられた。
さらにACE-Iによって腎組織内ではキニン濃度の上昇が観察され、それに伴ってNO産土が亢進したが、NO合成阻害薬ならびにAIIAを前処置した状況下でも、ACE-Iによる血管拡張が観察された。この拡張反応はプロスタグランジン合成阻害薬でも完全に抑制されなかった。これらの結果より、ACE-Iに伴って蓄積されたキニンはNO以外の脈管作動物質を誘導させて、腎徴小血管拡張作用を示すことが示唆された。

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] Matsuda H: "Role of bradykinin in angiotensin converting enzyme inhibitor induced dilation of renal microvessels in vivo" Journal of Hypertension. 16. s136 (1998)

  • [文献書誌] Matsuda H: "Potential role of endothelium-derived hyperpolarizing factor(EDHF)induced by ACE-I in renal microcirculation in vivo." Journal of American Society of Nephrology. 9. 342 (1998)

  • [文献書誌] 林 晃一: "腎障害を有する高血圧に対するACE阻害薬とAII拮抗薬:アンジオテンシン変換酵素とアンジオテンシン受容体拮抗薬" 循環器科. 43. 38-44 (1998)

  • [文献書誌] 林 晃一: "腎疾患におけるAII拮抗薬とACE阻害薬の比較" 血圧. 5. 577-578 (1998)

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公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

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