近位尿細管における尿酸輸送は、再吸収・分泌に関与する複数のトランスポーターを介した輸送が想定されているが、一つもクローニングされていない。今回、最近側低膜に存在し、有機酸を輸送するhOAT1がクローニングされた。このhOAT1が尿酸を輸送しているか否かを明らかにすることを目的とした。 方法 1hOAT1安定発現細胞株の作出方法 hOAT1cDNA全長をpcDNA3.1発現ベクターに組み込み、温度感受性SV40大型T抗原遺伝子導入トランスジェニックマウスより樹立された腎臓近位尿細管S2セグメント由来の細胞株に導入後、G418選択を行い、hOAT3安定発現細胞株を作製した。また、pcDNA3.1発現ベクターのみ導入したMOCK細胞も作製した。 2^<14>C-尿酸をトレーサーとして用いた取り込み実験方法 hOAT1安定発現細胞株を24穴プレートで2〜3日間培養後、1mMグルタミン、1mM乳酸、100μMピルビン酸を含有するHanks液中で、300μMの尿酸を用いた取り込み実験を37℃で11分間行った。^<14>C-尿酸の取り込み量は、hOAT1安定発現細胞とMOCK細胞の差により求めた。 結果及び考察 300μMの^<14>C-尿酸を用い、hOAT1による尿酸輸送の時間依存性を検討した。hOAT1による尿酸の取り込みは11分までほぼ直線的に増加した。それ以降は取り込み速度は減少し、プラトーを示した。hOAT1による尿酸の取り込みの濃度依存性関しては、Eadie-Hofstee plotより、ミカエリス・メンテン型の濃度依存性の輸送を示し、carreer-mediatedな輸送が行われていることが明らかになった。hOAT1による尿酸取り込みのKm値は943±84mM、Vmaxは1286±162pmol/mg/minであった。以上より、測定膜においてhOAT1は尿酸を輸送していることが明らかになった。
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