本研究は、「酸素濃度変化は酸素センサーで感知され、酸素センサーから発するシグナルが情報伝達系を経由して多様な標的分子に伝わる。このような機構により、酸素濃度の急上昇という単一の変化が、動脈管の閉管、肺動脈圧の低下、そして、酸化ストレスへの適応という多様な反応を導く。」との仮説に基づき、酸素センサー遺伝子を同定し、肺動脈平滑筋の酸素誘導性弛緩における酸素センサー分子の機能を解析することを目的と、研究を行った。エリスロポイエチンのHIF-1応答性プロモター配列をレポーター遺伝子(Green Fluorescence Protein遺伝子等を使用)に結合したキメラ遺伝子を作成した。この遺伝子を動物細胞に導入し、低酸素応答性をGreen Fluorescence Proteinの蛍光強度として観察することに成功した。このキメラ遺伝子をBa/F3細胞に導入したStable Transformantを作製し、変異を導入した結果、低酸素応答に異状をきたした細胞のクローンが複数分離された。現在変異体の遺伝的背景を解析している。
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