研究課題/領域番号 |
10671029
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
井樋 慶一 東北大学, 医学部附属病院, 助手 (60232427)
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研究分担者 |
菅原 明 東北大学, 医学部附属病院, 助手 (90270834)
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キーワード | 視床下部 / CRH / 遺伝子 / in situ ハイブリダイゼーション / ラット / Aカイネース / Cカイネース / 転写調節 |
研究概要 |
我々はin vivoの系でPVNのCRHニューロンを調節する脳内神経路の機能を研究してきている。独自に開発した無麻酔ラッ脳内微量注入法とCRH mRNAレベルの定量を特色とする研究である。この実験パラダイムを用い我々はPVNおよびその近傍における神経伝達物質NAおよびAChがCRH遺伝子発現を刺激すること、およびNAによるCRH遺伝子調節が転写レベルで発現することを世界で初めて明らかにした。 これまでの研究成果をふまえ、平成11年度はNAをPVNに直接微量注入後、CRHおよびバゾプレッシン遺伝子発現を転写レベルで比較検討した。その結果NAはCRH遺伝子転写を著しく増加させるがバゾプレッシン遺伝子転写への影響は明らかでなかった。NAがCRHおよびバソプレッシン遺伝子発現に異なった作用を及ぼすのはいかなる細胞内機序によるかを明らかにするためにNA投与後のphosphoCREBの量的変化を検討中である。 我々はCRHニューロン内における情報伝達系としてPKA系の重要性を実証し、さらにストレスパラダイムにおいて転写因子CREBの関与を明らかにした。一方、CRHニューロンにおけるPKC系の意義に関しては未だ定説がない。本研究ではCRH遺伝子発現におけるPKC系の意義を明らかにするために、ヒト神経芽腫BE(2)-M17細胞系を用いて分子レベルでの検討を行った。この細胞系はphorbor ester(TPA)に反応してCRH分泌を行い、しかもニューロンに近い性格を有しているためCRHニューロン内細胞環境を比較的良く再現できるものと考えられる。 平成11年度の研究により、TPA投与後CRH遺伝子発現が著明に増加したことからCRH遺伝子調節にCカイネース系が関与することが明らかにされた。
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