我々はヒトAd4BP遺伝子クローニングの過程で偶然、Ad4BP類似の構造を有する部分遺伝子クローンを得たが、ホモロジー検索の結果、Ad4BP関連核内受容体であるmouse liver receptor homologue-1(mLRH-1)ののヒト型であることが判明した。Ad4BPがショウジョバエのfushitarazu factor-1(FTZ-F1)のヒト型homologueであることから、これをα型とし、mLRH-1タイプをFTZ-F1βと名付けた。Ad4BPは副腎、性腺の発生、分化に必須の因子であることが確立しているが、FTZ一F1βについてはその構造と機能に関して、不明の点が多く、その解明を研究課題として、本年、以下のような成績を得た。 1. FTZ-F1β遺伝子構造に関してはどの種においても明らかにされていない。我々は、すでにヒト遺伝子構造の一部は明らかにしていたが、今回、すべてのエクソンをカバーすると考えられるヒトFTZ-F1β遺伝子クローンを複数得た。現在、完全遺伝子構造を決定中である。 2. rat FTZ-F1cDNA構造についても完全鎖長構造を明らかにしたが、A/Bdomain領域の長さの異なる二つのアイソフォームが存在することも同時にを明らかにした。また、rat組織では従来言われていた肝臓、膵臓に加えて消化管にも高発現を認めることを明らかにし、ステロイド産生臓器特異的組織発現を認めるAd4BPとは明らかに異なる組織発現を認める事が判明した。
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