本年度は、ヒトTSH受容体遺伝子の遺伝子発現調節機構を明らかにし、ヒトTSH受容体の機能調節並びに抗原性の解明のため、抗TSH受容体抗体産生・疾患モデル動物の作製を試みた。 1.TSH受容体遺伝子のプロモーター・発現調節領域の解析 1)TSH受容体遺伝子のプロモーター領域並びに変異遺伝子の転写活性を測定した。 TSH受容体のプロモーター領域の遺伝子のCRE、TREおよび甲状腺特異転写因子(TTF-1)、SP-1、AP-2などの転写因子の結合能および転写調節を解析した。 2)cAMP、CREB蛋白(リン酸化・非リン酸化CREB蛋白の動態)、PKA活性と各転写因子の調節および各因子の相互作用を検討した。 2.ヒトTSH受容体抗体産生・疾患モデル動物の作製 1)SCIDマウスに自己免疫性甲状腺疾患患者リンパ球および変異TSH受容体発現させた線維芽細を免疫し、甲状腺組織に対する抗体産生および抗原認識部位を解析した。 2)TSH受容体を強制発現するトランスジェニックマウスを作製し、抗TSH受容体抗体の産生機構を検討した。TSH受容体の発現調節は、ケラチンプロモーターを導入し、表皮での抗原発現並びに抗原提示・認識を行わせた。
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