• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

1998 年度 実績報告書

腫大性甲状腺疾患における細胞外マトリックス・プロテオグリカンの病態生理学的意義

研究課題

研究課題/領域番号 10671045
研究機関日本医科大学

研究代表者

江本 直也  日本医科大学, 医学部, 講師 (50160388)

キーワードFGF / 細胞外マトリックス / プロテオグリカン / ヘパラン硫酸 / 甲状腺癌 / バセドウ病
研究概要

甲状腺から抽出されたFGF-2は血管内皮細胞の増殖を刺激して血管新生を促し、甲状腺濾胞細胞の増殖を刺激する。さらに甲状腺癌の無限の進展にも関与している。しかし、正常の成人の甲状腺は増殖も血管新生も起こらない。これは正常の甲状腺ではFGF-2が利用されないためである。FGF-2は細胞外マトリックスのヘパラン硫酸と結合している。FGF-2とヘパラン硫酸の結合はNaCl 1.5M以上の高塩濃度で遊離する。ところが、バセドウ病の甲状腺や甲状腺乳頭癌では低い塩濃度でも遊離した。このことはバセドウ病の甲状腺や甲状腺乳頭癌では細胞外マトリックスがFGF-2を遊離しやすく、FGF-2が利用されやすい状態になっていると考えられた。甲状腺におけるプロテオグリカンの質的、量的な変化が甲状腺の特有の腫大形態をもたらすという仮説に基づき、種々の疾患における甲状腺プロテオグリカンの解析を行った。手術で得られた甲状腺組織をGuanidine溶液中でホモジネートして抽出したものを、Qセファロース陰イオン交換カラムクロマトグラフィーを行った。各フラクションのヘパラン硫酸とコンドロイチン硫酸を独自に開発したimmunoblot法により解析した。正常甲状腺のヘパラン硫酸はNaCl 0.8-0.9Mで溶出される硫酸化の低い成分がやや多く、0.9-1.0Mで溶出される硫酸化の高い成分はそれよりも少なかった。甲状腺乳頭癌では硫酸化の低い成分がほとんどで、硫酸化の高い成分は減少していた。一方、バセドウ病甲状腺と腺腫様甲状腺腫では硫酸化の低い成分から高い成分まで一律に認められ、結果的には硫酸化の高い成分が上昇していた。しかし、この増加した成分のFGF-2結合能は性状に比べて低下していた。このことから、バセドウ病甲状腺や甲状腺乳頭癌ではFGF-2結合能の低いプロテオグリカンが作られ、FGF-2が遊離されやすい状態と考えられた。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] Emoto, N.: "FGF-2 free from extracellular matrix is increased in papillary thyroid carcinomas and Graves' thyroids" Thyroid. 8(6). 491-497 (1998)

  • [文献書誌] Onose, H.: "Overexpression of fibroblast growth factor receptor 3 in a human thyroid carcinoma cell line results in overgrowth of the confluent" European Journal of Endocrinology. in press. (1999)

URL: 

公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi