GHの分泌調節機序を明らかにするためGH-releasing peptide(GHRP)がソマトスタチン(SS)の作用に与える影響を観察した。 1 ラットの下垂体細胞の膜分画と^<125>I-SSを用いてSSの結合実験を行った。下垂体膜と^<125>I-SSの結合はSSにより用量依存性に抑制され、50%阻害濃度(IC_<50>)は10^<-10>Mであった。GHRPは下垂体膜と^<125>I-SSの結合を用量依存性に抑制し、IC_<50>は10^<-6>Mで、10^<-5>Mの濃度で結合を90%抑制した。GH-releasing factor(GRF)の添加は下垂体膜と^<125>I-SSの結合に影響を与えなかった。 2 下垂体膜と^<125>I-SSの結合をdisuccinimidyl suberate(DSS)でcrosslinkし、電気泳動(SDS-PAGE)を行った。SS受容体の大きさに相当する70kDの位置にバンドを認めた。このバンドは非標識SS(10^<-6>M)あるいはGHRP(10^<-5>M)の添加により抑制された。 3 ラットの初代下垂体培養細胞を用いて細胞内cyclic AMP(cAMP)濃度をEIAにより測定した。GHRP(10^<-7>M)、SS(10^<-7>M)の添加は細胞内cAMP濃度に影響を与えなかったが、GRF(10^<-9>M)の添加によりcAMP濃度は増加した。このGRFによるcAMP濃度の増加はGHRPの添加により影響を受けなかったが、SSの添加により抑制され、このSSによる抑制効果はGHRPの同時添加により一部解除された。 以上の成績よりGHRPはGHRP受容体に加えてSS受容体にも結合し、SSの作用に拮抗することによりGRFの作用を増強する可能性が考えられた。
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