研究概要 |
GHの分泌調節機序を明らかにするためGH releasing peptide(GFRP)/GH-secretagogue (GHS)の作用機序と受容体(GHS-R)の発現調節についてラットを用いて観察した。1 下垂体膜と^<125>I-SSの結合はGHRP,ACTHにより用量依存性に抑制された。GHRP、SSの添加は培養下垂体細胞内cAMP濃度に影響を与えなかったが、GHRHの添加により増加した。GHRHによるcAMP濃度の増加はGHRPの添加により影響を受けなかったが、SSの添加により抑制され、このSSによる抑制効果はGHRPの同時添加により一部解除された。ACTHの培養下垂体細胞への添加はGHの分泌に影響を与えなかったが、SSによるGH分泌抑制を部分的に解除したことからSSの結合を抑制するACTH,GFRPはSSのantagonistとして作用する可能性が考えられた。2 下垂体培養細胞への甲状腺ホルモンあるいはデキサメサゾンの添加によりGHS-R mRNA量は用量依存性に増加し、GHRPの添加により減少した。副腎摘除により下垂体GHS-R mRNA量は減少し、この抑制効果はデキサメサゾンの皮下投与により解除された。絶食により下垂体GHS-R mRNA量は増加し、GHRPの持続静脈内投与により下垂体GHS-R mRNA量は減少した。以上より下垂体GHS-Rの遺伝子発現は甲状腺ホルモン、グルココルチコイド、絶食により正の調節を、GHRPにより負の調節を受けることが考えられた。3 GHS-Rの内因性リガンドとして最近クローニングされたghrelinの静脈内投与はウレタン麻酔ラットのGH分泌を用量依存性に促進し、ghrelinとGHRHの同時投与によりGH分泌は相乗的に増加した。この相乗効果は下垂体培養細胞では認められなかったことからghrelinは下垂体に加えて下垂体以外にも作用する可能性が考えられた。
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