本研究の最終目標はヒトの末梢血単球由来マクロファージを用いての検討であるが、その準備研究として、マクロファージ系細胞株でありアポ蛋白Eを産生しないJ-774-1・J-774A1細胞を用いた検討を現在行っている。まずLacZウイルスを用いてMOI(multiplicity of infection)の検討を行った。J-774A1細胞にては10000particles/cellにて約40%の細胞にアデノウイルスが感染することを確認した。その際、10ng/mLのMCSF添加の有無により感染効率に相違が生じるか否かを検討したが、相違は認められなかった。また、J-774-1細胞への感染効率は、J-774A1細胞と比較して悪いことが判明した。一方、アポEウイルスを感染させて蛋白を作らせてマクロファージあるいはマクロファージ系細胞と共培養する予定であるHeLa細胞には、1000particles/cellにて、ほぼ100%の感染が得られることを確認した。 アポEアイソフォームウイルスに関しては、大量精製を行ったのち、HeLa細胞およびJ-774-A1細胞に感染させて、各ウイルスが各アイソフォームを発現することを確認したが、アポE3ウイルスにおいてワイルドタイプのアデノウイルスの混入を認めたため、現在アポE3ウィルスを再度精製中である。 マクロファージ泡沫化に関しては、アセチルLDLを用いて泡沫化誘導検討を行ってきたが、上記の通りマクロファージ系細胞にはウイルスは100%の細胞に感染しないため、現在RIを用いた方法の検討を開始している。
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