• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

1998 年度 実績報告書

転写因子による膵β細胞の分化と機能維持のメカニズムの解析

研究課題

研究課題/領域番号 10671074
研究機関山口大学

研究代表者

谷澤 幸生  山口大学, 医学部附属病院, 講師 (00217142)

研究分担者 中井 一彰  山口大学, 医学部・附属病院, 医員(臨床)
井上 寛  山口大学, 医学部・附属病院, 助手 (20294639)
岡 芳知  山口大学, 医学部, 教授 (70175256)
キーワード糖尿病 / インスリン分泌 / 転写因子 / HNF-1α / MODY
研究概要

HNF1_αの変異により発症するMODY3の患者ではインスリン分泌障害が認められる.この分子機構を明らかにするために,MODY3患者で同定されたP291fsinsC変異に相当する変異HNF1_αを発現するアデノウイルスAdex1CA-HNF1_α-288tを作成した.この組み換えアデノウイルスにより変異HNF1_αをHepG2細胞に過剰発現すると,HNF1_αの標的遺伝子である_α 1-antitrypsin遺伝子やphenylalanine hydroxylase遺伝子の発現が抑制され,HNF1_α-288tは,dominant negative効果により内因性のHNF1_αの機能を抑制することが示された.次に,Adex1CA-HNF1_α-288tおよびコントロールとしてAdex1CA-lacZをMIN6細胞に感染後,各種刺激下でのインスリン分泌を解析した.
Adex1CA-HNF1_α-288t感染MIN6細胞(MIN6-HNF1-290t)とAdex1CA-lacZ感染MIN6細胞(MIN6-HNF1-lacZ)との間には,25mM glucose刺激によるインスリン分泌に有意差を認めなかった.同様に,5mM glucose存在下での20mM leucine刺激においてもインスリン分泌に差はなかった.しかし,5mM及び25mM glucose存在下での20mM arginine刺激では,MIN6-288tのインスリン分泌は著しく抑制された.この効果は非代謝性のarginine analogueであるhomoarginine刺激でも認められたが,直接,細胞膜電位の脱分極を誘導する50mM KCl刺激においてはMIN6-288tとMIN6-HNF1-lacZでインスリン分泌に差は認められなかった.我々の結果は,HNF1_αの機能障害により,β細胞ではarginineによるインスリン分泌増強効果の選択的な障害をきたし,glucoseの細胞内代謝とATP産生を介するインスリン分泌機構の基本構造には異常がないことを示す.このユニークなインスリン分泌障害の分子メカニズムについてさらに解析を進めている.

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (1件)

  • [文献書誌] Yukio Tanizawa: "Overexpression of Dominant Negative Hepatocyte Nuclear Factor(HNF)-1α Inhibits Arginine-Induced Insulin Secretion in MIN6 Cells." Diabetologia. 42(in press). (1999)

URL: 

公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi