研究概要 |
単球マクロファージの分化に伴うACAT-1発現誘導に関与する因子を検討した。ヒト単球白血病細胞、THP-1細胞を単球マクロファージの分化を誘導する因子として知られる1,25-ジヒドロキシビタミンD3および9-シス-レチノイン酸と保温すると、これらの因子によりACAT-1蛋白の発現が誘導されることを見いだした。ACAT活性およびACAT-1 mRNAも同様に増加した。1,25-ジヒドロキシビタミンD3および9-シス-レチノイン酸によるACAT-1発現誘導はマウス腹腔マクロファージにもみられたが、ヒト肝癌由来細胞HepG2細胞、ヒト胎児腎臓由来細胞のA293細胞にはみられなかった。 THP-1細胞を1,25-ジヒドロキシビタミンD3と保温するとACAT-1の発現が増加するが、こととき3-ヒドロキシ-3-メチルコエンザイムA(HMG-CoA)還元酵素阻害剤であるセリバスタチンを同時添加しておくとACAT-1発現が抑制された。これはHMG-CoA還元酵素阻害剤のあらたな抗動脈硬化作用として注目される。 抗ヒトACAT-1抗体を用いたヒト組織の免疫組織化学的染色により、ACAT-1は、副腎皮質、卵巣顆粒膜細胞、精巣ライディッヒ細胞、などのステロイドホルモン産生細胞、肺胞マクロファージ、肝臓クッパー細胞、皮膚ランゲルハンス細胞などのマクロファージ系の細胞に高発現していることが明らかになった。抗ヒトACAT-2抗体を用いた免疫組織化学的検討により、ACAT-2はヒト小腸上皮細胞に発現していることが明らかになった。
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