糖輸送体の1つであるGLUT4は、筋肉や脂肪組織における糖の取り込みに重要な役割を果たしている。これまでの研究により、運動及び高脂肪食の反応するシスエレメントが転写開始点から-1000〜-442に存在することを明らかにしている。そこで、発現調節エレメントを明らかにする目的で、GLUT4遺伝子上流-700bp、-550bp、-423bpを導入したのトランスジェニックマウスを作成し、生理的因子による影響について検討した。 -700、-550、-423のトランスジェニックマウスに約2週間のスイミング運動を行ったところ、運動に反応するシスエレメントが-550〜-442にあることを明らかにした。運動とは逆にマウスの座骨神経を切除して足が動かないようにした場合に反応するシスエレメントを検討したところ、-423より下流に存在し、運動と除神経に反応するシスエレメントは異なることがわかった。また、-550〜-442の領域内で、GLUT4-1:-555〜-526、GLUT4-2:-530〜-501、GLUT4-3:-505〜-469、GLUT4-4:-475〜-438の4つのフラグメントを作成し、筋肉から抽出した核蛋白を用いてゲルシフト・競合アッセイを行った結果、F1とF2では弱いが、F3とF4には強く結合する特異的な蛋白質が存在することがわかった。さらに、-700のトランスジェニックマウスに高脂肪食を約3ヶ月間摂取させたところ、-700〜-442に高脂肪食に反応するシスエレメントが存在することがわかった。-700〜-442の領域内でF1:-750〜-551とF2:-593〜-394の2つのフラグメントを作成し、脂肪組織から抽出した核蛋白を用いてフットプリントを行った結果、F1のWF1:-706〜-681とWF2:-675〜-653に蛋白質の結合領域が認められた。F1を用いてゲルシフトを行ったところ、蛋白質の結合が認められ、WF1とWF2によって競合する特異的な結合であることがわかった。
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