<方法> 膵島の収量を増やすことを目的とし、ラットを用いて従来のCollagenaseに代えてLiberaseを使用して膵島分離を行い、膵島の収量、機能を検討した。次に分離された膵島を用いて、免疫隔離膜としてポリスルホン性ホローファイバーを使用した人工膵臓を作成し、その機能を検討した。 <結果> 分離された膵島数は875±746個であった(n=3)。分離された膵島は形もよく、dithizoneによく染まった。Sigma typeVを使用した場合と、膵島の収量を比較した。両群間に有意差は認められなかったが、Liberase群では1500個膵島が回収された例もあり、従来のコラゲナーゼと比較しても良好な結果が得られた。Liberaseを使用して分離・回収された膵島のインスリン分泌能は、良好であった。 従来よりLiberaseは高価であると考えられている。しかしながらラットでは使用コラゲナーゼ量が少ないこともあり、ラット1匹あたりの単価はLiberaseが850円、Collagenase typeV(Sigma)が630円であった。ホローファイバーによりマクロカプセル化したラット膵島は、static incubationによる高濃度グルコース刺激には反応しなかった。これに対し、Perifusion testでは、十分とはいえないが、高濃度グルコース刺激に対するインスリン分泌能が確認された。 <まとめ>(1)新しいコラゲナーゼであるLiberase Rlを用いて、ラット膵臓より膵島を分離した。 従来のコラゲナーゼを使用した場合に比べて、良好な収量の膵島が得られた。 (2)生体適合性に優れた透析膜であるポリスルホン性ホローファイバーを用いて、ラット膵島を封入した人工膵を作成した。function testにより、膵島の機能が確認されたことから、今後の応用が期待された。
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