研究概要 |
実験1:胃切除患者で術後7日間にわたり血中および尿中リン排泄量(s-Piおよびu-Pi)を調べた. 結果:1)s-Piは術後1-3日目に術前値よりも低下した.2)u-Piは術後1日目に術前値よりも増加し,以後漸減した.u-Piはナトリウム排泄量(u-Na)と同様のパターンを示した.3)血中副甲状腺ホルモン(PTH)活性は変化しなかった. 実験2:胃手術ラットでu-Piを規定するのはつぎのどの因子か,術後6日間にわたり調べた:a)u-Na;b)尿中総窒素排泄量(u-TN);c)PTH ラットをつぎのグループに分けた:1)高Na輸液+PTH群(n=10);2)低Na輸液+PTH群(n=10);3)高Na輸液+副甲状腺摘除群(n=10);4)低Na輸液+副甲状腺摘除群(n=10) 結果:1)u-Naは,PTHの有無に関わらずつねに高Na輸液群の方が低Na輸液群よりも多かった.2)u-Piは低Na輸液+副甲状腺摘除群を除いて術後1-3日目に高く,以後漸減した.3)u-Piは高Na輸液群と低Na輸液群との比較で差はなかった(u-Piはu-Naと相関しなかった).4)u-Piはu-TNと相関していた.5)PTHは術後にu-Piを増加させているが,総u-Piに対する割合は少ない. 結論:外科侵襲後のu-Piを規定するのは筋蛋白の崩壊の程度であり,PTHの関与は少ない. 今後の課題:外科侵襲により,腎のPTHに対する反応のちがいがあるかを調べる.
|