研究課題/領域番号 |
10671108
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研究機関 | 福井医科大学 |
研究代表者 |
須賀 弘泰 福井医科大学, 医学部附属病院, 助手 (10266752)
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研究分担者 |
横山 利光 福井医科大学, 医学部, 助手 (90191527)
中川 隆雄 福井医科大学, 医学部附属病院, 助教授 (40075578)
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キーワード | 出血性ショック / エンドトキシン / NO / cNOS / iNOS / NOS阻害剤 / 外傷性DIC / サイトカイン |
研究概要 |
重症外傷患者にしばしば見られる播種性血管内凝固症候群(DIC)の発症については、早期診断、早期治療が特に望まれるにも拘わらず未解明の点が多い。この外傷性DICの病態を検討するために先に出血性侵襲によるラットのDIC発症をその凝固線溶系、サイトカインレベルの変化及び組織病理像より確認したが、その際組織一酸化窒素(NO)の早期よりの増加を認め、DICの早期診断の指標としての可能性が示唆されたので、この組織NOの産生機序についての検討を試みた。 1) 出血性侵襲の対照として、DICの実験動物モデルとして用いられるエンドトキシン(LPS,E.coli)の適応ラットを用いたが、両者共に凝面線溶系の変化と組織病理像からDICの発症を確認した。 2) 出血性侵襲による組織NO産生は、侵襲後早期に増加が始まりピークに達したが、エンドトキシン適応では適応後早期にはNO産生の増加は全く認められず、2-3時間後より徐々に増加が認められるようになり、4-6時間後にピークに達し、両者の時間経過には顕著な差異が認められた。この組織NO産生は電子スピン共鳴(ESR)によっても確認できた。 3) このNO産生は誘導性NOS(iNOS)阻害剤SMTにより抑制されず、非選択的NOS阻害剤L-NMMAにより抑制され、構成的NOS(cNOS)によることが強く示唆されたが、エンドトキシン適応による後期のNO産生はSMT及びL-NMMA両者により抑制され、主としてiNOSによることが強く示唆された。 4) このNOS阻害剤前処置の両侵襲に対する影響を検討したが、凝面線溶系に対しては一部軽減効果(DICs coreの改善)が認められたのに、組織病理像には有意な影響は認められなかった。これはNOの作用の組織保護性び障害性の二面性に基ずくものと考えられ、治療薬としてのNOS阻害剤の種類、用量そして投与時期の検討は今後の課題である。
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