研究課題/領域番号 |
10671112
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
外科学一般
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
今井 常夫 名古屋大学, 医学部, 講師 (80252245)
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研究分担者 |
高橋 雅英 名古屋大学, 医学部, 教授 (40183446)
舟橋 啓臣 名古屋大学, 医学部, 講師 (50135357)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2000
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キーワード | ret遺伝子 / MEN2A / MEN2B / Shc / PI3-K / Gab1 / GDNF / MAPK |
研究概要 |
多発性内分泌腫瘍症(MEN)2型の原因遺伝子としてret遺伝子が同定され、MEN2A型変異はリガンド非依存性の2量体形成を誘導してRet蛋白を活性化すること、MEN2B型変異は単量体のままでRet蛋白を活性化することを示してきた。変異Ret蛋白は活性化され細胞のトランスフォームを引き起こすことから、MEN2A及び2B型変異がMEN2型における甲状腺髄様癌などの腫瘍発生の第一義的な要因であると考えられる。Ret蛋白はレセプター型チロシンキナーゼのひとつで活性化されたシグナル伝達におけるShcアダプター蛋白の役割、すなわちRet-Shc-Grb2の複合体がRas-MAPKの経路の活性化へつながり、Shc-Grb2-SOSの複合体がRas-MAPKシグナル経路に関わることを明らかにした。さらに細胞内シグナル伝達の1つとして重要なPhosphatidylinositol3-kinase(PI3-k)の活性化との関連をMEN2B型変異Retにおいて解明した。GDNF刺激でRetを発現する神経芽細胞腫細胞とMEN2A型、2B型変異Retを発現させた線維芽細胞を可溶化し、抗PI3-k(p85)で免疫沈降すると、PI3-k(p85)とRetの直接結合は認められなかったがGab1とPI3-k(p85)の強い結合がみられた。GDNF刺激に伴いGab1のチロシンリン酸化の増加がみられ、MEN2B型変異でGab1の強いリン酸化を認めた。MEN2A、MEN2B型変異細胞でPI3-k活性を測定するとMEN2B型変異細胞においてMEN2A型変異細胞と比較して明らかな活性の上昇をみた。以上からRetを介するPI3-kの活性化はGab1を介することが明らかで、MEN2B型RetにおけるPI3-k活性の上昇がMEN2A型とのphenotypeの違いに関与している可能性が示唆された。
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