研究課題/領域番号 |
10671116
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
丸林 誠二 広島大学, 医学部・附属病院, 講師 (80144814)
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研究分担者 |
岡田 和郎 広島大学, 医学部, 大学院生
福馬 寿幸 広島大学, 医学部, 研究生
杉野 圭三 広島大学, 医学部, 講師 (80162882)
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キーワード | エンドトキシン / 肝障害 / 転写因子NF-κB / TNF-α / ラザロイド |
研究概要 |
【目的】メチルプレドニゾロン(MP)のanalogueであり、グルココルチコイド活性をもたず、強力な抗炎症作用のみをもつラザロイドU74389Gを用いて、エンドトキシン誘発肝障害の保護効果についてMP投与の場合と併せて比較検討した。【方法】ICRマウスにLPS(30mg/kg i.p.)を投与、同時にそれぞれ、U74389G(3mg/kg)、MP(30mg/kg)、リン酸塩緩衝液0.15ml(対照)を静脈内投与した群に分けた。各治療群の生存率、肝組織過酸化脂質の生成、血中NOx、TNF-α、肝逸脱酵素を測定し、さらに肝組織のTNF-αとiNOSのmRNAレベルでの発現と転写調節を担うnuclear factor-κB(NF-κB)の活性化を解析し、好中球浸潤の程度を調べ、投与効果を検討した。【結果】U74389G、MP群とも、対照群に比べ48時間後生存率の改善、肝組織過酸化脂質生成の抑制(4時間後)、血中NOx(4、8、12時間後)およびTNF-α(2時間後)の上昇抑制、肝組織のTNF-αmRNAの発現の抑制(1、2時間後)およびiNOSmRNAの発現の抑制(2、4、8、12時間後)効果を認めた。対照群で認められた肝組織NF-κBの活性化(1時間後)は、両群とも抑制されていた。また肝逸脱酵素の上昇(4時間後)、好中球浸潤(8時間後)も、両群で抑制されていた。【結語】LPS誘発肝障害の軽減には、MPと同様、U74389Gが有効であり、その機序には、肝組織肝NF-κBの活性化の抑制とそれに続くiNOSおよびTNF-αの誘導の抑制と、好中球の集積とそれに伴って生ずる過酸化脂質生成の抑制が大きく関与することが考えられた。今後はKupffer總の関与を明らかにするため、Kupffer細胞単離した場合のNF-κBの活性化とラザロイドの効果について検討し、臨床応用の可能性を探る。
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