Endotoxin(LPS)肝障害に対する治療法は確立されておらず、グルココルチコイド活性を持たないLazaroid(21-aminosteroid)のLPS肝障害に対する効果を明らかにすることにより、その病態、治療法について検討し以下の結果を得た。 1、対照群ではLPS投与後NF-κBの活性化、引き続きTNF-αmRNA発現増強、血中TNF-αの増加、好中球浸潤の増加、肝組織過酸化脂質の増加、肝逸脱酵素の増加が認められた。 2、Lazaroid投与はNF-κBの活性化を抑制し、TNF-αmRNA発現を抑制し、TNF-α生成、好中球浸潤を抑制し過酸化脂質生成を抑制し動物生存率を有意に増加させた。 3、In vitroのLPS添加後のKupffer培養実験でもLazaroid投与はI-κBのdegradationを抑制することによりNF-κBの活性化を抑制し、炎症性cytokine mRNA発現を抑制し、炎症性cytokine生成を抑制した。 以上の結果LPS肝障害はLPSによるKupffer細胞のNF-κBの活性化、引き続いてproinflammatory cytokine mRNAの発現、炎症性cytokineの放出、特にTNF-αの放出、血管内皮接着分子の発現、炎症局所への好中球浸潤が起こり肝細胞障害が生じると考えられ、Lazaroid投与により転写因子NF-κBを抑制することは、LPS肝障害の治療として臨床的に有効性が期待される。
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