研究概要 |
人由来の転移を起こす2つの細胞株を得た。 1 人由来の転移癌細胞株(A375 melanoma cell)のDNAをマウスの非転移株(AH8 control)に導入し、ヌードマウスに移植し、肺転移を起こすクローンを得た。 2 乳癌細胞株MDA435をヌードマウスの皮下に移植し肺転移を起こすクローンを繰り返し皮下移植を繰り返し肺転移株MDA4A4と非転移株MDA2C5を得た。 昨年度までに、これらの細胞よりcDNA differential displayにより新たに4個のクローンを見いだし、相同性の検索により新たな遺伝子であることが判明した。これらの遺伝子のmRNAの発現は、Northern blotを用いて解析すると約2.5kb,4.5kb付近にそれぞれsingle bandとして確認された。転移株と非転移株での発現を検討すると、MDA4A4で発現しており、MDA2C5ではNorthern blotを用いた検索では検出されず転移に関連した遺伝子である可能性が示唆された。これらの細胞株をヌードマウスに皮下移植し、実際の転移巣と非転移株での発現を同様にNorthern blotを用いて解析したところ、おもしろいことに必ずしも転移巣で高い発現は確認できず、癌細胞の与えられた環境により微妙に発現の変化が認められるmoleculeであることが示唆された。今年度はさらにこれらの細胞株からのmRNAをもちいてDNAマイクロアレイにより、人の遺伝子2万クローンよりの解析を行い、既知の遺伝子および未知の遺伝子を含め約200種類のクローンで発現の差が確認されている。現在これらのクローンの解析および前年度に確認した遺伝子断片の相同性を確認中である。
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