研究概要 |
本研究の目的は、膵ドナー不足に対応するため,ひとつの膵臓を膵頭部と膵体尾部に分離して、それぞれを別個のrecipientに移植するという二分割膵移植の術式を考案すること、急性拒絶の非侵襲的なマーカーの感受性、特異性を調べること、細胞診の有用性を確立すること、膵臓の虚血・再灌流障害を軽減する工夫を見つけることが目的である。 犬を用いて、膵体尾部を遊離し、膵頭部は摘出する。膵体尾部の動静脈をクランプし、90分の虚血を行う。前後でFR167653という薬剤を投与し、IL-1βを測定すると、cytokineの産生、再灌流障害の緩和が観察されている。今後は、膵体尾部と左腎に同様な虚血・再三灌流障害を加え、効果を検討する。 つづいて、膵体尾部を切離し,腸骨動静脈へ自己移植を行う。腸管吻合と膀胱吻合の2群を作成し、血清リパーゼ、アミラーゼ、を術後2週間から4週間まで毎日測定し、細針細胞診を隔日に行う。1,3,6,12か月後にrecipientを再開腹し、sacrifice実験を行う。その際、移植膵の血流測定、グルコース負荷に対するインスリン反応、組織学的検索を行う。膵体尾部移植の安全な術式を確立し、自己移植部分膵が潅流、保存、移植の過程で長期にわたり機能を保ちうることを証明できる。 さらに、1頭のdonorから、2頭のrecipientに膵頭部と膵尾部を分割して移植する。臨床膵移植と同様にFK506 0.05mg/kgを術後2週間投与し、減量する。急性拒絶が起こってくるので、血清リパーゼ、アミラーゼ、を術後2週間から4週間まで毎日測定する。4週間後にrecipientを再開腹し、sacrifice実験を行う。その際、移植膵の血流測定、グルコース負荷に対するインスリン反応、組織学的検索を行う。
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