本研究に関連した事項として、大量化学療法によるより効果的なmass reductionについての検討が必要と考え、この項目を今回の検討に含めた。しかし、化学療法単独では生命予後の改善に至ったとの報告は数少ない。この点mass reductionされた腫瘍を免疫監視機構による再燃、再発の抑制におけるAlloimmuno responseの応用の可能性について以下の検討を行った。HLAは、個体を識別するためにCD8細胞への抗原提示に重要な役割を果たしていると考えられている。特に癌抗原認識にはCD8細胞のT cell receptorによる認識とHLAーClass Iによる抗原提示が必要とされ、これにco-factorとしてのAlloimmuno responseの関与を利用した腫瘍抑制効果を得ることを本研究の最終目的としてた。本研究期間中には基礎研究として乳癌細胞のHLA-Class I抗原欠損について検討した。効果的なmass productionを目的とした化学療法に関しては、再発乳癌を対象とした大量化学療法によるmass reduction効果の検討では末梢血幹細胞移植によりかなりのmass reductionが行え、観察期間が短く予後判定するには至らなかったがCR例がかなり得られることが分かった。Alloimmuno responseの基礎的な研究として、乳癌の組織におけるHLA-Class I抗原欠損の欠損頻度を評価する方法について、組織を単離細胞化してフローサイトメトリー法を用いた評価が可能であり、本法では測定値が数値化されるため判定量が可能でより正確に欠損度を評価することができるとの結果が得られた。
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