研究概要 |
1. ヒト乳癌細胞株におけるインテグリンαvβ3の発現 複数のヒト乳癌細胞株(MCF-7,T47D,MDA-MB-231,MKL-4)におけるインテグリンαvβ3の発現をマウスモノクローナル抗体CD51/61を用いてABC法により検討を行った。通常の培養条件下では、乳癌細胞にインテグリンαvβ3の発現は認められなかったので、2価の陽イオン下でのヒト乳癌細胞培養株のインテグリンαvβ3の発現を検討し、動物モデルにおける骨転移の発現との関連を検討する。さらに転移部位別によるインテグリンαvβ3の発現を検討する。 2. 原発乳癌及び骨転移におけるインテグリンαvβ3の発現 当教室において治癒切除がなされた原発乳癌の中で、骨転移再発を来した症例を対象として、マウスモノクローナル抗体CD51/61を用いてABC法により検討を行った。凍結切片の作製が可能であった8例の骨転移再発例を対象とし、病期を対応させた健存例8例と原発巣におけるインテグリンαvβ3の発現を比較検討した。インテグリンαvβ3は、主として癌細胞の細胞質に発現しており、骨転移再発例で6例(75%)、健存例で1例(12.5%)に発現を認めた。インテグリンαvβ3の発現と乳癌骨転移との関連についてさらに検討するとともに、対照として、インテグリンα2β1の発現に関しても同様の検討を行う。
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