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1998 年度 実績報告書

移植後サイトメガロウイルス感染症の発症機序の解明

研究課題

研究課題/領域番号 10671136
研究機関東海大学

研究代表者

田中 和生  東海大学, 医学部, 助教授 (50236569)

キーワードサイトメガロウイルス / 一酸化窒素 / 間質性肺炎
研究概要

本研究の平成10年度の目標はサイトメガロウイルス(CMV)再活性における一酸化窒素(NitricOxide,NO)の役割を明らかにすることである。平成10年度は交付申請書に記載した研究計画に沿って実験を行った。即ち、(C3H/HexBALB/c)F1マウスにmurine CMV (MCMV)を0.2LD_<50>接種し、このマウスにBALB/cマウスの脾細胞を静注することによりGVHを誘導させる実験系を用い、以下の結果を得た。
1. GVH誘導後経時的に唾液腺・肺・脾臓・肝臓・心臓よりDNAを抽出しPCR法にてMCMVのウイルスDNAの有無を調べた。その結果、GVH誘導前には認められなかったMCMVのゲノムDNAがGVHの進展とともに、肺汲び心臓にて認められるようになった。即ち、GVH反応が潜伏MCMVのウイルスDNA量を増加させることが明らかになった。しかし、このMCMVゲノムが認められた肺・心臓よりRNAを抽出し、RT-PCR法にてウイルスのmRNAの発現を調べたところ、発現は認められなかった。即ち、ウイルスゲノム量はGVHにより増加しているが、MCMVの再活性、複製には至っていないことがわかった。
2. GVH誘導後に肺・心臓よりRNAを抽出し、誘導性NO合成酵素(iNOS)-mRNAの発現を調べたところ、GVHによりこれらの臓器でのiNOSのmRNAが発現しており、GVHの進展に伴い、NOが産生されることが示された。
3. GVH誘導と同時にNO阻害剤であるphorbol-butyl-nitrone(PBN)を投与したところ、肺、心臓ではMCMVのDNAは認められなくなった。また、GVH誘導と同時にiNOSの基質であるアルギニンを投与したところ非投与群に比べより大量のMCMV-DNAが出現するようになった。
以上のことから、GVHなどの宿主の免疫反応に伴い産生されるNOにより、潜伏CMVのDNA量が増加することが判った。しかし、このDNAはRNAへは転写されず、ウイルスの複製には次のステップが必要であると考えられた。以上の結果を基にした論文を作成し、現在英文誌に投稿中である。平成11年度にはこれをiNOS遺伝子欠損マウスを用いて確認する予定であり、現在iNOS欠損マウス、及びその対照マウスである(C57BLxSv129)F1マウスにCMVを感染させ、予備実験を遂行中である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] K.Kohda,T.Tanaka et al.: "Role of apoptosis induced by Helicobacter pylori infection in the development of duodenal ulcer" Gut. (印刷中).

  • [文献書誌] 澤村,貞昭・田中和生: "GVH反応に及ぼす腸内細菌叢(特にグラム陰性桿菌)の影響" 今日の移植. 11巻1号. 85-88 (1998)

  • [文献書誌] 田中和生: "サイトメガロウイルス感染症成立における宿主側要因" 日本臨床. 56巻1号. 97-101 (1998)

  • [文献書誌] 田中和生: "GVHにより惹起される潜伏サイトメガロウイルスの再活性化におけるNOの役割" 今日の移植. 11巻5号. 561-566 (1998)

  • [文献書誌] 田中和生(分担): "食と生体防御" 菜根出版, 23 (1999)

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公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

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