研究概要 |
「MAb JT-95により認識された抗原は甲状腺癌の浸潤、転移に関与しているか?」というテーマにより研究を進めた。平成11年になりMAb JT-95と反応する(シアル酸化ファイブロネクチンを抗原として細胞表面に発現している)甲状腺癌細胞株SW1736と反応しない細胞株TTを使用し、双方にMAb JT-95を100μg/mlの濃度で添加した後、ヒトリンパ球と72時間混合培養しリンパ球と甲状腺癌の接着能を比較検討した。結果は以外なことにMAb JT-95を添加すことにより、SW1736においての癌の細胞死が顕著に認められた。 この結果より我々はMAb JT-95は細胞表面に発現しているシアル酸化されたファイブロネクチン(FN)と結合することによりSW1736に細胞死を誘導しているのではないのかという仮説を立てた。 この仮説を検討するためまず1)SW1736、TT双方の培養上清にMAb JT-95を10,100,1000,10000μg/mlの濃度で添加し72時間後calorimetric assay,^3T-Thymidine incorporate assayにより評価した。SW1736においてはMAb JT-95の添加濃度に比例して細胞死が増加することが確認された。次にMAb JT-95とSW1736上のFNとの結合部位を特定するため 2)FNのいくつかの領域のpeptideを合成し、MAb JT-95を一定濃度添加したSW1736にpeptideを比例した濃度添加しどのpeptideにより細胞死にinhibitionが生ずるかを検討した。この結果FNのC末端近くに存在するheparin binding domain付近のpeptideを添加した場合inhibitionが発現することを確認した。またヘパリンをSW1736に投与したところ同様に濃度比例的に細胞死を認めた。 次にこのSW1736の細胞死がnecrosisなのかapoptosisなのかを検討したところこの細胞死はapoptosisであることが確認された。
|