研究概要 |
□[研究実績の概要]: ヒトT細胞は,T細胞抗原レセプター(αβTCR)を介し抗原認識,その可変部固有のアミノ酸配列(イディオタイプ)により個々の特異性が決定されている。本研究の目的は,免疫疾患患者血清中のヒトαβTCR・可変部(イディオタイプ)に特異的な抗ヒトαβTCR・自己抗体を測定し,ヒトT細胞クローン解析の可能性と抗原特異免疫抑制を検討する。抗ヒトαβTCR・自己抗体は,HIV感染患者血清をはじめ,骨髄腫患者,自己免疫疾患,心移植患者や妊婦血清,正常血清中に検出され,報告されている。筆者らは,抗OKT,3・2次抗体陽性のOKT 3(CD 3)モノクローナル抗体投与後の腎移植患者血清をはじめ,抗ドナ-T細胞抗体陽性のドナー全血輸血(DST)患者血清,そして抗ブタ赤血球・阻害抗体陽性のヒト血清中に抗ヒトαβTCR・自己抗体が測定された成績を報告した。OKT 3投与患者血清(抗OKT3・2次抗体陽性)中には,フローサイトメトリー(FACS)解析で数%〜10%程度の抗ヒトT細胞・抗体陽性反応が検出された([ヒトT 細胞]+[OKT 3投与患者血清]/処理→FITCヒトIgG抗体/反応)。一方,陽性反応は,ヒトαβTCR・framework特異的なBMA 031モノクローナル抗体-前処理後に消失し,ヒトαβTCRに対する自己抗体が推察された。 反対に,OKT3投与患者血清(抗OKT 3・2次抗体陽性)処理後のヒトT細胞でも蛍光色素(FITC)標識-BMA 031(αβTCR・framework特異的)やTCRVβ(可変部β-鎖特異的)・モノクローナル抗体の陽性反応を阻害した。 自己リンパ球混合反応(Auto-MLR)にて特異性を検討した結果,同じOKT 3投与患者血清処理(反応/洗浄)後の"反応細胞"(Responder cell)は,OKT 3-処理"反応刺激細胞"(Stimulator cell)を約40%特異的に抑制したが,ATGなど他の抗ヒト胸線グロブリン処理-"反応刺激細胞"では,同じ血清処理後に反応が亢進した(第18回国際移植学会(200年8-9月/ローマ,第38回EDTA(200年8月ニュース)報告予定(応募中)。
|