研究概要 |
□ヒトT細胞抗原レセプター(αβTCR)可変部(イディオタイプ)に特異的な抗αβTCR・自己抗体は,1つの抗原エピトープを特異認識する同一のT細胞集団(クローン)を同定する可能性が高い。Marchalonisらは,HIV感染患者や自己免疫疾患者血清中に抗ヒトT細胞抗原レセプター(αβTCR)・自己抗体を検出した成績を報告した。今回筆者らは,異種抗原性の強いOKT 3(CD3)モノクローナル抗体を投与した腎移植患者症例で抗OKT3・2次抗体陽性後に陰性に転化した患者血清を用い抗ヒトαβTCR・自己抗体を検討した。本患者血清中にはヒトリンパ球処理後にFITC-抗ヒトIgG抗体の陽性反応(M 2領域)が検出された(抗ヒトリンパ球抗体)。本陽性反応は,先にBMA 031(αβTCR・freamework)モノクローナル抗体処理後に阻害された(BMA 031様・自己抗体)。本患者血清は,先にリンパ球処理後もFITC-BMA031やTCRVβ特異抗体の陽性反応(M2領域)を阻害した(BMA 031様/抗αβTCR・自己抗体)。 今回筆者らは,患者血清処理リンパ球のFACS解析では反応阻害を陽性率(%Gated)/差と陽性細胞数(Events)より阻害率(Events/阻害率)で検討,FITC-BMA 031反応で%Gated/差が0.23〜1.25%低下に対しEvents/(阻害率)では3.52〜10.15%阻害と測定値が拡大した。また抗TCRVβ特異(Vβ-2,3,9,13)抗体反応でも%Gated/(差)で0.3〜3.52%低下がEvents/(阻害率)では10.62〜49.5%阻害と同様の傾向を示した(抗ヒトαβTCR・自己抗体)。本自己抗体は,^<OKT 3->Stimulatorを用いた自己リンパ球混合反応(Auto-MLR)でOKT 3特異性を検討した結果,OKT3投与患者血清処理後のResponderでは反応率が57.5±18.0%に低下したが,ATGAM(ウマIgG)やATG-F(ウサギIgG)などATG(抗ヒト胸腺グロブリン)処理^<ATG->Stimulatorでは反応抑制されず陽性コントロール以上の高値を示した(OKT 3特異的)。本自己抗体は,ドナー輸血(DST)患者や抗ブタ赤血球抗体陽性ヒト血清でも検出された。
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