計装化ウルトラミクロトームに関する研究は国内では皆無であった。海外では1996年になってLulea大学M.L.Ericsonの研究がある。本研究では主として生体組織/インプラント(異種物質)界面の密着性(力学的強度)、あるいは産業製品における積層構造材料を評価する手法として、計装化ウルトラミクロトームを開発した。これにより従来あいまいな評価でしかなかった生体組織/インプラント材界面の密着力ないしは積層構造材料を評価する手法を確立した学術的意義は大きい。 1)計装化ウルトラミクロトームの概念設計と製作を重点を置き、切削時における要素を解析した。「せん断エネルギー」と「摩擦エネルギー」が大きく関与していることを明らかにした。 2.計装化ウルトラミクロトームの試作(開発研究)をおこなった。試料切削時の切削力を評価する方法として、試料ホルダー側あるいはナイフ側に歪み検出器を取り付けた。 3.既存ウルトラミクロトームの試料ホルダー部に圧電アクチュエータを組み込み、せん断エネルギー(切削力)などを計測できるシステムを試作し、完成させた。 4.圧電アクチュエータからの出力を、RS232Cを介してパソコンに入力し、画像解析するためのソフトを構築した。 5.切削時における切削力と切削時間特性曲線(切削力プロファイル)のパターン解析をおこない、試料の切削断面積形状とパターンの関連性を明らかにした。 6.具体的には人工物を用いて材料評価と界面密着性評価をおこなった。 (1)in vivo試料(すでに力学的強度が明らかな人工物界面を有する試料)を用いて、材料評価をおこなった。 (2)in vivo試料を用いて密着性評価をおこなった。 7.人工物としては金属、高分子、セラミック、また集積膜(多層膜)における単層の切削強度(せん断応力)、物性的特性との関連性を明確にした。 8.積層膜の各層の密着性を定量的に求めることができる可能性を明らかにした。
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