研究概要 |
癌の腫瘍血管の新生を抑制する新しい物質を探求するために,我々は血管新生を制御する機能を持ったモノクローナル抗体を作成した。血管内皮細胞のHUVECの遊走能に着目し,癌細胞でBalb/cマウスを免疫し,マウスハイブリドーマを作製した。その後matrigelを塗布したは血管新生を制御する機能を持ったモノクローナル抗体を作成することにした.血管内皮細胞のHUVECの遊走能に着目し,癌細胞でBalb/cマウスを免疫し,マウスハイブリドーマを作製した.その後matrigelを塗布したtranswellを用い,HUVECの上層から下層への運動を抑制するモノクローナル抗体を選別した.そのエピトープを検討してきたところ,HM7-3抗体は135K,105Kの分子量を持つ蛋白を認識していることが判明した.これは過ヨウ素酸処理やN-glycanase処理で反応が増すことから純粋に糖蛋白部の蛋白を認識していると考えられた.HM7-3抗体は実際にニワトリの受精卵を用いた実験で,血管新生をin vivoで抑制した.また,ラットの角膜を用いた実験でも角膜内への血管新生を高度に抑制した.そこで,この抗体のepitopeを検討するために,このepitopeが発現していないRaji細胞に,このepitopeが発現しているRPMI4788のcDNA libraryをtransfectionし,セル・ソーターを用いて発現細胞の選別を繰り返した.この結果目的遺伝子の一部と考えられる511個の塩基配列からなるcDNAがクローニングされ,これをAngiogenesis inhibiting protein(AIP)と名付けた.現在この物質の全塩基配列をさらに決定しているところである.また,各種癌組織を用い,免疫組織染色を行い,AIPの発現との関係を検討中である.
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