研究概要 |
HLA-A拘束性扁平上皮癌抗原(SART-1、2,3)蛋白由来のHLA-A結合性抗原ペプチドの決定とそれぞれのHLA-Atypeにおけるペプチド特異的CTL誘導能の検討:3種類のHLA-A拘束性扁平上皮癌抗原SART-1,2,3の遺伝子を同定し、そのコード蛋白内に癌ワクチンの候補ペプチドを数種類単離し、HLA拘束性腫瘍特異的CTL誘導能を確認した。即ちSART-1ではHLA-A2へのbinding motifを元にHLA-A2結合ペプチドを合成、SART-2,3ではHLA-A24へのbinding motifを元にHLA-A24結合ペプチドを合成した。それぞれの候補ペプチドは健康人及び癌患者末梢リンパ球からそれぞれのHLAtypeに拘束性でペプチド特異的反応性をもつCTLを誘導した。とくにHLA-A24拘束性のSART-3由来の二つの候補ペプチドはHLA-A2拘束性CTLの誘導が可能でHLA-A24なみならずHLA-A2を有する多くの癌患者において有望な癌ワクチンとなる可能性が示された。 Gene-expression cloning法によるHLA-A2402拘束性胃癌拒絶抗原遺伝子のクローニング:HLA-A2402DNA及び胃癌細胞株(MKN-45)cDNAライブラリーをCOS7細胞へco-transfect後、胃癌浸潤リンパ球由来HLA-A2402拘束性CTL株とco-cultureし、1次及び2次スクリーニングを行い、数個の候補DNAを得た。候補DNAをサブクローニング後、塩基配列決定を決定したところ、同一の配列をもつことが判明し、GENBANK上の検索にて、既知の遺伝子と完全に一致した。この遺伝子は、約0.6Kbの長さをもち、候補DNA中に全長が含まれていた。報告されているHLA-A24に対するbinding motifを基に、遺伝子産物内の推定されるHLA-A24結合ペプチドの高純度標品を合成した。これを用いて、健康人及び癌患者末梢リンパ球からのHLA-A24拘束性CTL誘導能を検討したが、CTLの誘導は確認できなかった。
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