研究課題/領域番号 |
10671165
|
研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
八木 実 新潟大学, 医学部附属病院, 助手 (10251802)
|
研究分担者 |
飯沼 泰史 新潟大学, 医科部附属病院, 助手 (00283010)
岩渕 眞 新潟大学, 医学部, 教授 (00018326)
|
キーワード | 小腸移植 / 拒絶反応 / 臓器保存 / 短腸症候群 / 小腸運動 |
研究概要 |
犬のドナーから長い血管茎(大動脈、門脈)を有する約80cmの小腸を遊離しUW液にて還流した(大動脈より流し、門脈より排出)。次に犬のレシピエントを開腹し、大動脈を露出、脾静脈の一部を遊離し、サテンスキー鉗子を装備できるよう吻合に備えた。これらの操作と平行してドナーの遊離腸管の大動脈からアルブミン製剤を還流し、門脈より排出し、高カリウム製剤であるUW保存液を十分洗い流した。次にアルブミンにて血管床を満たされたドナーの大動脈付き動脈を、準備のできたレシピエントの大動脈に吻合し、さらにドナーの門脈をレシピエントの脾動脈の一部に吻合した。これにてドナーの遊離腸管は血管系が動脈より養われ、静脈系はレシピエントの肝門脈系に流入した。遊離腸管の口側は閉鎖し、肝門側を小腸瘻として犬の腹部皮膚に縫合した。レシピエントの健常腸管には銀針双極電極を縫着し、コードは体外に誘導し、腸管運動を記録した。術後、レシピエントの腹部の小腸瘻開口部よりマルチモニターの2点圧センサーと2点pHセンサーのチューブを挿入して、内圧とpHの変化を同時に測定した。移植されたドナーの遊離腸管では術後3日間不規則な小収縮波がみられた。腸管内pHは術後1日より5以下となり、その後さらに低下し2以下となった。内視鏡上、粘膜のびらん、出血壊死がみられた。生着したと考えられる腸管の運動の解析や組織的所見の変化については検討中であり、次年度に報告する。 一方、同じドナーから血管茎付き約40cmの遊離腸管を2本取り出し、UW保存液にて還流し、4度Cの冷蔵室にて1本は保存、もう1本は同冷蔵室内に持ち込んだ小型高圧酸素チェンバー内にいれ2気圧で保存した。各々の腸管共に、保存中はほとんど有効な収縮液が現れず、pHは7前後で保たれていた。長期保存腸管の変化、保存後移植された腸管の運動や病理、組織変化は検討中であり、次年度に報告する。
|