研究概要 |
健常マウス(C57BL/6,Balb/C,C3H)の脾細胞を採取し、Th1 inducerである溶連菌製剤OK-432で刺激培養した際のIL-6,IL-10,IL-12,IFN-γ等のin vitroでのサイトカイン産生能はC57BL/6>C3H>Balb/Cであり、マウスの系により反応性の相違があることが明らかになった。また、B16メラノーマ腫瘍細胞を移植したC57BL/6マウスで、担癌状態の脾臓を摘出しサイトカイン産生能を測定したところ、担癌状態の中期(腫瘍移植後2〜3週)でIL-2,IL-6,IL-10,IFN-γなどの産生能が増大したが、IL-12産生能は誘導されていなかった。また、担癌末期になるとすべてのサイトカイン産生能が低下する低下する傾向にあった。さらに担癌中期のマウス脾細胞はin vitroでOK-432で刺激することによりIL-12産生が誘導でき、in vivoでOK-432を用いて治療することでIL-12,IFN-γ産生能が維持され抗腫瘍効果が得られる傾向にあった。一方、胃癌患者の脾臓が産生するサイトカインについてはIL-4,IL-6,IFN-γの産生は観察されるものの、個体差が大きく病期の及ぼす影響が十分には把握できず、継続して検討する予定である。 また、マウス癌性腹水モデルでOK-432によるTh1サイトカイン誘導が認められたほか、臨床治療において腹膜再発を防止するために術中腹腔内にMMC,OK-432などの薬剤を投与した胃癌症例で、IL-2,IL-12,IL-15,IFN-γなどの腹腔内に誘導されるresponder症例があり、それらの臨床成績とサイトカイン産生能との対比も行った。 以上の内容について、すでに掲載済の論文に加えて、あと3編が現在投稿中および投稿準備中である。
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