研究概要 |
研究目的]肝切除術後2〜3日目に通常は非致死的量のエンドトキシン(LPS)血症が起こると高率にラットが死亡するという現象はPAF拮抗剤で生存率は有意に改善された。平成12年度はLPSによる影響がplatelet-activating factor(PAF)によるものと同様であり、PAF拮抗剤の後投与の効果についても確かめることとした。 方法]70%肝切除48時間後PAF(2μg/kg)の投与に対する血漿中alanine transaminase(ALT)、TNF-α、CINCの量、及び組織中TNF-α、CINC、PAF receptor(PAFR)mRNAの発現の変動およびそれに対するPAF拮抗剤の効果を検索した。NF-κB、CINCの免疫組織化学的染色および組織学的に好中球の浸潤を検討した。 結果]肝切除後2日目にPAFを投与すると重篤なショックとなり、死亡率、血中ALT,TNF-a,CINC,エンドトキシンが有意に上昇した。これらはPAF拮抗剤投与で有意に改善された。sham群でPAF投与1h後までALT,TNF-a,CINCが上昇し、NF-kBのびまん性の発現を起こした。肝切除ラットではPAF投与4h後まで門脈域にNF-kBの発現が活性化されていた。PAFの投与後肝組織内の好中球の集積は有意に増加した。PAF拮抗剤の後投与についても前投与と同様の効果が得られた。 結論]PAFは好中球の集積と活性化を介して持続的なCINCの上昇及びNF-κBの活性化に働いている。PAFによる再生肝の傷害はPAF拮抗剤で前または後投与において有効である。PAF投与により血中エンドトキシン血漿が起こり、悪循環に陥ると考えられた。
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