研究課題/領域番号 |
10671171
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
西野 暢彦 浜松医科大学, 医学部附属病院, 講師 (80228197)
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研究分担者 |
田中 達郎 浜松医科大学, 医学部, 助手 (90273185)
今野 弘之 浜松医科大学, 医学部, 助教授 (00138033)
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キーワード | 血管新生抑制 / 大腸癌 / 肝転移 / 原発巣切除 / FR118487 / TK4 |
研究概要 |
原溌巣切除モデルの開発 ヒト大腸癌同所再建肝転移モデルを用い、生着した移植腫瘍を含めた大腸切除に成功した。過去の報告では癒着のため腫瘍移植2週後の切除は不可能とされていた。ヌードマウス盲腸に当科にて樹立したヌードマウス継代ヒト大腸癌TK4腫瘍を移植し、移植1、2、4週後に移植腫瘍を含め盲腸切除を施行した。術後の肝転移発生率は各々0、32,100%であり、早期切除による肝転移阻止効果を認め、臨床における大腸癌の術後転移形成の特徴を良く反映したモデルと思われた。 血管新生抑制物質FR118487による原発巣切除後転移抑制効果の検討 血管新生抑制物質FR118487はTNP470同様にフマジリン骨格を持つフマジリンファミリーに属する。対照群はTK4を同所移植し経過を観察。腫瘍移植後2週後に原発巣切除したものをER群、更に1週間浸透圧ミニポンプを用いFR118487:1mg/kg/dayを持続皮下投与したものをearly FR群とした。腫瘍移植後4週後に原発巣切除したものをLR群、更に1週間FR118487を持続皮下投与したものをlate FR群とした。肝転移は対照群80%、ER群50%、early FR群0%、LR群100%、late FR群100%であった。術後肝転移阻止にたいしては早期切除後の血管新生抑制物質投与の有用性が認められた。 更に術後の予後改善効果について検討した。切除単独群は腫瘍移植3週間後に原発巣切除を行い、切除+FR投与群は原発巣切除後1週間浸透圧ミニポンプを用いFR118487:1mg/kg/dayを持続皮下投与した。切除単独群は術後106日で全例腫瘍死したが、切除+FR投与群では全例生存しており、観察終了時(腫瘍移植160日後)においては切除+FR投与群は50%の生存を認めた。術後の血管新生抑制物質FR118487投与の有意な予後改善効果を認めた。
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