研究課題/領域番号 |
10671181
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
左近 賢人 大阪大学, 医学部, 助教授 (40170659)
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研究分担者 |
有吉 秀男 大阪大学, 医学部, 助手 (60294055)
梅下 浩司 大阪大学, 医学部・附属病院, 助手 (60252649)
中森 正二 大阪大学, 医学部, 助手 (70294080)
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キーワード | 肝 / 虚血再潅流障害 / カルパイン / 肝切除 |
研究概要 |
Ca2+依存性蛋白分解酵素(カルパイン)はCa2+により活性化され、細胞骨格蛋白(タリンなど)を分解することにより虚血再潅流による非可逆的細胞障害に関与する。カルパインが活性化されることは虚血再潅流による細胞内Ca2+濃度の上昇を示唆している。そこで肝悪性腫瘍患者においてインフォームドコンセント下、肝切除に伴う肝血流遮断時に肝生検を施行し、カルパインの活性化を検討し、肝の虚血再潅流障害における関与と細胞障害機構からみた許容肝虚血時間を検討した。また、至適阻血方法をラット部分肝阻血モデルにおいて検討した。本年度得られた知見は以下の如くである。 a) 臨床的検討:ウエスタンブ口ッチング法にて肝炎肝硬変非合併(正常肝組織)においては肝血流遮断が10分を越えないとカルパインの活性化が見られなかったが、15分では血流再開後に活性化が認められた。22分の血流遮断では血流再開前に活性化が認められた。活性型及び非活性型カルパインを特異的に認識する抗体を用いた免疫染色により肝細胞におけるカルパインの活性化が確認された。非活性型は細胞質全体に、活性型は細胞膜近傍に認められた。10分の血流遮断では血流再開後も血流遮断前とそれらの染色性に差異を認めず、非活性型のみ染色された。22分では細胞質全体(ミトコンドリア近傍)に活性化が認められた。 b) ラット肝阻血モデルにおける検討:計60分の阻血(10×6,15×4,20×3分阻血、5分間の再潅流をはさむ)モデルにおいてカルパインの活性化を指標として再潅流障害を検討した。1回10分のグループではカルパインの活性化が認められなかったが、15分、20分のグループでは認められた。同時にカルパインの基質であるタリンの分解も認められた。
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