研究課題/領域番号 |
10671182
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
中森 正二 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (70294080)
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研究分担者 |
永野 浩昭 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (10294050)
左近 賢人 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (40170659)
有吉 秀男 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (60294055)
梅下 浩司 大阪大学, 医学部・附属病院, 助手 (60252649)
堂野 恵三 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (60283769)
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キーワード | 浸潤 / 内皮細胞 / 開裂 / FAK / リン酸化 / Rho / 膵癌 |
研究概要 |
癌細胞が内皮細胞層へ浸潤する際に生じる内皮細胞開裂現象を、定量的に計測する培養細胞実験系を用い、10種類以上のヒト癌細胞培養上清に内皮細胞開裂活性が存在することを見いだした。内皮細胞開裂活性が最も強い膵癌細胞株PSN-1を用い、内皮細胞開裂時に生じる内皮細胞内の情報伝達を検討したところ、癌細胞培養上清添加により、内皮細胞において、分子量120〜130Kdの蛋白リン酸化の低下が誘導される事を見いだし、そのリン酸化低下が認められる蛋白が、細胞内骨格制御に関与するとされるfocal adhesion kinaseであることを認めた。このようなリン酸化の低下が誘導されるためのシグナル伝達に遊離カルシウムの関与しているか否かを共焦点レーザー顕微鏡を用いて観察したところ、培養上清添加では、細胞内遊離カルシウムの上昇は認められなかった。さらに、より、実際の癌細胞浸潤に近いモデルとして、内皮細胞と癌細胞接触の際に生じる細胞内遊離カルシウム濃度の変化を共焦点レーザー顕微鏡を用いて観察した。内皮細胞に癌細胞が接触後わずか数十秒で内皮細胞内の遊離カルシウム濃度の上昇が生じることが見いだされ、その上昇は、数十秒間隔で生じることが判明し、この癌細胞接触後の定期的な内皮細胞内の遊離カルシウム濃度の上昇が内皮細胞開裂に重要な役割を果たしていることが推測された。また、癌細胞側の浸潤の際のシグナル伝達に関しての検討も行い、低分子量GTP結合蛋白の一つであるRhoの発現亢進により、癌細胞の浸潤性が亢進することを見いだした。
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