研究課題/領域番号 |
10671188
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
消化器外科学
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研究機関 | 島根医科大学 |
研究代表者 |
田村 勝洋 島根医科大学, 医学部, 教授 (80155259)
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研究分担者 |
矢野 誠司 島根医科大学, 医学部, 講師 (10220203)
角 昭一郎 島根医科大学, 医学部, 講師 (80252906)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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キーワード | 膵ランゲルハンス島移植 / VEGF / PECAM-1 / CD-31 / 第8因子関連抗原(vWF) / 血管新生 / 耐糖能 / TNP-470 |
研究概要 |
1.正常Lewisラットに同系のラ島移植を行い、1〜4週間後に移植部位を摘出して組織学的にインスリン免疫染色などで検討したところ、皮下移植群ではラ島組織がほとんど見られず、門脈内移植群(肝臓)と腎被膜下ではviableなラ島組織が見られた。 2.正常膵、分離直後のラ島と移植部位(肝臓および腎被膜下)をトリプシン処理による抗原性増強後にvascular endothelial growth factor(VEGF)の免疫染色したところ、正常膵および分離直後のラ島は陽性であったが、移植後には染色性が低下した。ただし、トリプシン処理にかえてマイクロウエーブ処理を用いたところ、移植後ラ島にも染色性が認められ、VEGFは移植後にも消失する訳ではないと考えられた。同様に、血管の指標である第8因子関連抗原(vWF)と新生血管に特異的に発現するとされるplatelet endothelial cell adhesion molecule-1(PECAM-1,CD-31)を検討したところ、vWFは正常膵ラ島から移植4週間後まで一貫して陽性である一方、PECAM-1は正常膵ラ島では染色されないが、移植後は時間経過とともに染色性が増強した。 3.streptozotocinで糖尿病としたLewisラットの腎被膜下に同系分離ラ島を移植するモデルで、血管新生阻害剤であるTNP-470を投与して、組織学的検討と耐糖能を観察したところ、TNP-470投与群のラ島内にPECAM-1陽性内皮細胞を欠く血管様管腔構造が形成され、血管新生が阻害されていることが示唆された。飽食時血糖や経口ブドウ糖負荷試験の血糖値には明らかな差がなかったが、インスリン分泌反応はTNP-470投与群で不良であった。 以上より、少なくとも腎被膜下へのラ島移植ではラ島内での血管新生が示唆され、十分な血管新生により良好なインスリン分泌反応がもたらされる可能性がある。
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