研究目的・研究実施計画書に示したとおり、雑種成犬を用いて、strain gauge transducer法並びにBarostatを用いた実験によって、以下の知見を得た。 1. strain gauge transducerによって幽門輪の開閉運動を記録するという独自の方法を用いて、幽門輪温存膵頭十二指腸切除術の術後上部消化管運動を検討した。胃前庭部、幽門輪、十二指腸の協調運動は温存されるが、特に空腹期において周期的運動の間隔が不規則になること、およびその運動の改善にmotilideが有用である可能性が示唆された。 2. strain gauge transducerとBarostatを併用して、胃底部に認められる特有の弛緩運動の制御機構を検討した。これまでこの機構には内因性一酸化窒素が大きく関与しているといわれていたが、他の消化管運動においてそうであるようにコリン作動性機構が最も大きく関与していることを証明した。 今後はさらに動物実験による基礎的検討を行うと共に実際の術後患者に対してBarostatを用いて、胃運動機能が温存されているかどうかについて検討する。
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