研究課題/領域番号 |
10671194
|
研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
佐藤 元通 愛媛大学, 医学部・附属病院, 講師 (50162491)
|
研究分担者 |
加州 保明 愛媛大学, 医学部, 助手 (40294813)
渡部 祐司 愛媛大学, 医学部, 講師 (20210958)
河内 寛治 愛媛大学, 医学部, 教授 (90116020)
|
キーワード | 肝虚血 / 血行再建 / 凍結保存 / 好中球 / 再潅流障害 / 大動脈 / 腹膜炎 |
研究概要 |
目的:肝動脈、上腸間膜動脈の再建中に問題となる肝虚血が好中球抗体、免疫抑制剤の投与で軽減するか否か検討した。 方法:肝虚血はYadavらの方法で、体重230-250gのWisterラットを用い、尾状葉、乳様突起、方形葉、右外側葉を切除し、残肝を各肝葉の肝門部にて90分クランプした。再潅流後1時間、1週目に採血し、血清GOT、GPT、LDH、pH、IL-8、動脈血ケトン体比(AKBR)を測定した。肝組織像とASD chloroacetateにより好中球を染色し、400倍の視野での肝の好中球浸潤数を求めた。コントロールのC群、好中球に対するモノクローナル抗体Urge-8(50mg/Kg)を再潅流前投与するU群、免疫抑制剤FK506(3mg/Kg)を虚血前投与するF群の計3群で比較検討した。1週間生存率、再潅流1時間、1週目の各種パラメーターを各6匹ずつ別個に実験を行った。また別の実験系で虚血前後の肝組織酸素分圧をラット、ブタでモニターした。 結果:1週生存率はC群で12/20(20匹中12匹生存)、U群で16/20、F群で15/19で,C群で低い傾向にあった。再潅流1時間後にはC群はU、F群に比べ、GOT、GPT、LDH、IL-8が有意に高値をとり(P<0.01)、肝壊死、鬱血、細胞空胞化等が強く、好中球浸潤数も有意に高かった(P<0.01)。再潅流1週後にはほぼ正常に復した。虚血30、60、90分の肝組織酸素分圧はいずれの群でも前値の1/3-1/4に下がるが、再潅流後30、60分で速やかに前値に復した。肝組織酸素分圧は各群で差異は認めなかった。 結語:以上より肝虚血の軽減には好中球抗体、免疫抑制剤の前投与が有効である事が示された。
|