イヌを用いて膵・十二指腸自家移植を行い、乳頭括約筋運動を測定し、以下の結果を得た。 (1)自家移植により乳頭括約筋の基礎運動能を示す基礎圧及び収縮圧はいずれもコントロール群と比較し有意に高かった。(2)運動の活発さを表すMotility Indexは、自家移植群で有意に高かった。(3)消化管ホルモンの一種であるコレシストキニン投与により、コントロール群では乳頭括約筋が弛緩するのに対し、自家移植群では興奮反応を示した。いずれの反応にも膵管内圧上昇による膵炎、膵機能不全を惹き起こす可能性があり、膵移植後の乳頭括約筋機能異常が移植片機能不全の原因の一つである可能性が考えられる。現在、自家移植片の周期的運動を調整していると思われるモチリンをラジオイムノアッセイにより測定している段階である。
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