研究概要 |
本年一年間で申請者は抗体とgenisteinの結合実験を行い、更に作成されたコンジュゲイトの生物学的活性について実験的に検討した。 まず教室で所有のヒト化したモノクローナル抗体ch-A7の遊離アミノ基にheterobifunctional cross-linking agentのSANPATHを共有結合させた。その後SANPATHのもう一つの反応基とgenisteinをphotolyticに結合させた(ch-A7-Gen)。 コンジュゲイトとgenistein抗体とgenisteinとの結合モル比を、1:2、1:3、1:5の三種類とし、作成されたch-A7-Genの抗体活性を計測した。すなわちch-A7-Genを125-Iで標識し、これとch-A7と強く反応する事がわかっている胃癌細胞株MKN45との結合活性をradioimmunoassayにて測定したところ、それぞれモル比1:2、1:3、1:5のコンジュゲイトの抗体活性は、元のch-A7の抗体活性の約80%、50%、30%であった。 またコンジュゲイトのPTK活性を測定した。MKN45をch-A7-Genと4時間接触させ、細胞をNP 40に溶解し、これに^<32>Pを加えペレットを電気泳動し、autoradiographyにかけPTK活性を測定した。PTK活性は上記3種類のコンジュゲイトの内、1:2のものが、ch-A7単独,Gen単独、non-specific IgG-GEnに比し強い特異的活性を示した。 in vitroにおけるこれらの結果は、ch-A7とgenisteinのモル比1:2のコンジュゲイトが最も優れた剤形である事を示した。次年度はin vitroのアポトーシスの計測、殺細胞効果を検討した後に、in vivoの実験に入る予定である。
|