難治癌の一つである腹膜播種性転移に対しては、従来行われてきた治療方法では効果が乏しいため、新しい発想による治療法が必要である。モノクローナル抗体を用いたimmunoconjugateは、ミクロのレベルで癌細胞のみを攻撃する事により、従来の治療法の持つ欠点を克服し、優れた治療効果を得る事の出来る画期的な手段になると考えられる。本研究では、胃癌を特異的に認識するモノクローナル抗体A7をヒト化したch-A7と、protein-tyrosine kinase(PTK)の強力な抑制物質であるgenistein(Gen)とを結合させたimmunoconjugate(ch-A7-Gen)を作成し、平成10年度に続いて本年度も基礎的に検討を加えた。その結果、以下の事実が明らかになった。 PTK活性の測定:ch-A7-Genはコントロールに比し強いPTK抑制効果を示した。 殺細胞効果:細胞の放射活性を計測したが、ch-A7-Genは特異性をもった強い殺細胞効果を示した。 ヌードマウス移植固形腫瘍に対する増殖抑制効果:MKN45をヌードマウスに移植し、腫瘍増殖を経時的に計測すると、ch-A7-Genにおいて強い腫瘍抑制効果を示した。 ヌードマウス腹膜播種モデルを用いた治療効果の検討:ヌードマウス腹膜播種モデルを用いて腹膜播種の治療効果を検討した結果、ch-A7-Genはコントロールに比し優れた腹膜播種抑制効果を示した。
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